当院の口腔外科治療
それ以外にも、お口の中のちょっとした怪我・口内炎・顎関節症の治療、腫瘍の診断などを行います。また、交通事故による外傷、口腔粘膜疾患、神経性疾患の治療も、口腔外科の領域です。噛み合わせや顎のバランスは、肩こりや腰痛、頭痛などの不定愁訴と密接な関係があります。口腔外科での治療によって全身の不調が改善するというのは、よくあることです。 なお、骨折などの大きな外傷、腫瘍性の病変が疑われる場合には精密検査が必要となり、その場合には日本赤十字病院口腔外科及び第二警察病院口腔外科と連携・紹介いたします。どうぞ、ご安心ください。
対応する症状・疾患
- 親知らず抜歯
- 顎関節症
- 口腔の腫瘍の診断
- 事故などによる口腔内の外傷
- 口腔粘膜の疾患
- 神経性疾患 など
連携病院
主に以下の病院と連携しています・各病院での検査・治療が必要になった際には、速やかにご紹介いたします。
“痛い”“腫れている”
親知らずの原因
一般的に考えられる原因をご紹介します。
親知らず・手前の歯が虫歯になっている
親知らずが虫歯になると、当然その歯が痛くなります。汚れが溜まりやすく磨きづらいため、もともと虫歯リスクが高くなっているのです。
また、親知らずの手前の歯が虫歯になっていて、それを「親知らずが痛い」と感じることもあります。
親知らず周辺の歯茎の炎症(智歯周囲炎)・歯周病
汚れが多いということは、細菌が多いということです。親知らず周辺の歯茎で炎症が起こっていたり、歯周病に進行していると、その症状の1つとして歯茎に痛みを感じることがあります。
なお、親知らず(智歯)周辺の汚れによって起こる炎症のことを、「智歯周囲炎」と呼びます。
親知らずが生え始めている(萌出性歯肉炎)
親知らずが生え始めるとき、手前の歯や歯茎が圧迫され、痛みを感じることがあります。特に、親知らずが真っすぐ生えるためのスペースがない場合に起こりやすい痛みです。
一旦生えてしまうと痛みが消えることが多いものの、真っすぐ生えていない可能性が高いため、歯科医院で診てもらうようにしましょう。
歯性感染症
智歯周囲炎が拡大し、周辺組織で感染を起こしている状態です。
顎骨骨膜炎、化膿性リンパ節炎などがあります。強い痛みと腫れ、発熱などを伴い、そのまま放置すると、全身にバイ菌が回ることもあります。
親知らずを抜くのは怖い!
痛いけど放置している方へ
親知らずは、必ず抜かなければならない歯ではありません。
ただし、痛みや腫れなどの症状がある場合には、お口の健康を守るために抜歯をおすすめすることが多くなります。
親知らず・手前の歯の虫歯
親知らずが何度も虫歯になると、そのたびに治療が必要になります。
そして、磨きにくい親知らずを残しておくことで、手前の歯まで虫歯になってしまうこともあります。
歯周病
汚れが溜まりやすい・磨きづらいことから、歯周病のリスクが高くなります。
親知らずだけでなく、他の歯や歯茎の健康を害することになってしまいます。
歯並びの乱れ
親知らずが真っすぐ生えるスペースがなかったり、斜めに生えるなどすると、手前の歯が押されて歯並びが乱れることがあります。
日常生活への支障
痛みや腫れが慢性化することで、学業や仕事、家事などの日常生活への支障をきたすことがあります。
妊娠中の余計なストレス
そのため、それまでは無症状だったのに妊娠を機に痛みだす・腫れるといったことがあります。
妊娠中でも安定期であれば基本的には抜歯が可能ですが、それ以外の期間には対症療法に留めることが多く、余計なストレスを抱えることになってしまいます。
親知らずを一度も診てもらったことがないという方は、妊娠を考えている段階で一度当院にご相談ください。
親知らず抜歯する診断基準
では、具体的にどのような場合に親知らずの抜歯が推奨されるのでしょうか。
一般的な基準をご紹介します。
抜いたほうがいい場合
- 親知らずが原因で痛み、腫れがある
- 親知らずや手前の歯が虫歯になった
- 親知らずが斜め・横を向いて生えている
- 親知らずが手前の歯を圧迫している
- 親知らずの噛み合わせが合っていない
- 親知らずが頬粘膜や歯茎を何度も傷つける
- 歯ブラシが届きづらくケアが困難
- 矯正治療を検討しておりスペースが不足している
抜かなくてもいい場合
- 痛みや腫れがなく、真っすぐ生え、磨きやすく、虫歯になっておらず、噛み合わせも良好
- 痛みや腫れがない(※埋まっている場合)
歯科用CTによる精密な診断
歯の根の形や数などを正確に把握することで、親知らずの抜歯の必要性を正しく見極めることができます。また抜歯という判断になった場合にも、親知らずの根の状態や神経・血管の位置が正確に把握されているため、低侵襲かつ短時間、さらに安全性の高い抜歯が可能になります。
親知らず抜歯後
どれくらい痛みは続くの?
痛みは痛み止めでコントロール可能
多くは抜歯翌日や翌々日にピークを迎え、その後徐々に軽減していきます。
ただ、抜歯した日に痛み止めを処方いたしますので、ご安心ください。
抗生剤は用法・用量を守り飲み切ってください
痛み止めは痛みを感じたときに飲みますが、抗生剤は指示された用法・用量を守って、必ず最後まで飲み切ってください。
なお抗生剤は、感染を防ぐためのお薬です。
親知らず抜歯後に傷を
早く治癒するために
1.親知らずが抜けた穴を触らない
親知らずがあったところには、穴があいています。血が固まるとかさぶたとなり治癒していきますが、舌・指・歯ブラシなどでこの穴を触らないように注意してください。血餅(血が固まったもの)がはがれ再び出血するだけでなく、ドライソケットを起こしてしまうことがあります。
※ドライソケットとは…抜歯後の穴の奥にある顎の骨が露出し、激しい痛みを伴います。歯科医院を受診し、処置してもらう必要が生じます。
2.強いうがいをしない
抜歯後は少量の出血が続くため、ついグチュグチュうがいをしたくなります。ただ、強いうがいをすると血餅が剥がれ、出血します。また、ドライソケットを引き起こすことがあります。
口内の血が気になるときには、唾液と一緒に垂らすように吐き出してください。
3.穴に食べかすが入り込んだときは取れるのを待つか優しくうがいをする
米粒などが親知らずのあった穴に入ったときには、自然に取れるのを待つか、口に含んだ水を揺らす程度の優しいうがいをするようにしてください。これも、血餅が剥がれたりドライソケットになるのを避けるためです。
4.激しい運動・長風呂・飲酒を避ける
いずれも、血行を促進する行為です。血行が良くなると炎症や出血がひどくなるため、少なくとも当日中は避けてください。
5.冷やし方に注意する
氷を口に含むなどの冷やしすぎ、抜歯翌日以降の冷却は、傷の治りを遅らせることがありますので避けてください。
痛みや腫れを軽減するため、抜歯当日に冷たいタオルなどで冷やす程度であれば問題ありません。
ただこちらも、痛み・腫れが軽ければ特に行う必要はありません。
6.刺激物・硬いもの・熱すぎるものを避ける
香辛料・コーヒー・炭酸飲料などの刺激物、せんべいなどの硬いもの、熱すぎるものは一週間ほど避けてください。炎症が悪化したり、再出血したりする原因になります。
親知らず抜歯後の食事
当院を受診された患者様には改めてお伝えしていますが、親知らずを抜いた後はどのような食事を摂るべきなのか、ご説明いたします。
抜歯直後~当日
抜歯直後~2・3時間
抜歯後の出血は30分ほどで落ち着きます(ごく少量ずつの出血は続きます)。
出血が落ち着けば、水やお茶は飲んでくださって構いません。ただ、この時間は食べ物を食べないでください。
食事しない方が良いのはなぜ?
- 麻酔の効果が3時間ほど続くため、誤って舌や粘膜を噛んでしまうことがあるため
- 親知らずがあった穴で血液が固まってできる血餅を刺激しないため
麻酔が切れた~当日
麻酔が切れれば、食事は可能です。
ただ、まだ血餅は簡単に剥がれてしまう状態です。刺激物・硬いもの・熱すぎるものは避けましょう。
あまり噛まなくても飲み込めるものを食べましょう。
抜歯後の当日は何を食べたらいいの?
- おかゆ、玉子がゆ
- 雑炊
- 煮込んだうどん
- 具の小さいスープ
- ヨーグルト、プリン、ゼリー
- すりおろしリンゴ
抜歯翌日~2・3日
少しずつ傷口は安定してきていますが、まだ出血を起こす可能性があります。
ただ、刺激物や熱すぎるものを避け、抜歯したのとは反対側の顎で噛めば、ほとんどの食べ物は問題ありません。
抜歯翌日~2・3日間は何を食べたらいいの?
- うどん、そうめん
- リゾット
- シチュー
- 食パン、調理パン
- 野菜の煮物
- 焼き魚、煮魚
- 豆腐、納豆
- 卵焼き
- 親子丼
口を大きく開けられない時の食事の工夫
そういった場合には、以下のような方法をお試しください。
- 材料を細かく切って調理する
- よく煮込んで前歯でかじれるようにする
- うどんなど、すすって食べるものを選ぶ
お酒やたばこは親知らず抜歯後はダメ!?
そのため、抜歯当日中は控えましょう。同じ理由で、激しい運動や長風呂・サウナも避けてください。
喫煙は、逆に血行を悪くして傷口の治りを遅らせます。また、喫煙は免疫力の低下を招き、感染のリスクを高めます。同様に少なくとも当日中は、控えてください。
親知らず抜歯の
よくあるご質問(Q&A)
痛みなどの症状はないのですが、親知らずを診てもらった方がいいですか?
もしまだ一度も歯科医院で親知らずを診てもらっていないのであれば、親知らずの抜歯に力を入れている歯科医院に相談してみることをおすすめします。当院であれば、現在の親知らずや周囲の歯茎の状態はもちろん、十分なケアができているかどうか、将来的な虫歯や歯周病のリスクなどを考慮したアドバイスを行います。 また、親知らずは顎の骨が硬くなると、抜歯に時間がかかることが多くなります。症状がない場合も、二十歳くらいで一度診てもらうとよいでしょう。
親知らずは、口腔外科を標ぼうしていない歯科医院でも抜いてもらえますか?
口腔外科の有無に関係なく、ほとんどの歯科医院は親知らずの抜歯に対応しています。 ただ、親知らずの抜歯は「お口の中の外科的な処置」であり、専門はやはり口腔外科となります。親知らずの抜歯および外科的な処置に慣れているはずですので、口腔外科であればそれに越したことはないでしょう。 また、歯科用CTがあるかどうかも重要なポイントです。親知らずの根の形や数、神経や血管の位置を正確に把握することで、正確な診断と安全性の高い抜歯が可能になります。
親知らずの抜歯の際、痛みはありますか?
局所麻酔をかけますので、抜歯そのものの痛みは基本的にありません。もし麻酔が足りない場合も、追加が可能です。ただ、歯を揺らしたり、場合によっては分割するときの振動は伝わり、それを不快に感じることはあります。 当院では、注射麻酔の前に表面麻酔を使ったり、極細の注射針を使うなどして、麻酔そのものの痛みも軽減できるよう努めています。
妊娠をすると、親知らずが痛み出すことがあるとききました。不安です。
妊娠によってホルモンバランスが変化すると、歯茎が炎症を起こしやすく、それまでなんともなかった親知らずが痛みだすということがあります。妊娠中は、基本的に安定期を除き、対症療法はしても抜歯はいたしません。余計なストレスを抱えないためにも、妊娠を考えている時点で一度親知らずの状態を診てもらい、安心して妊娠、そして出産を迎えられることをおすすめします。